5.28.2010

Bak Kut Teh & Rou Gu Cha ちょっとした歴史



ニンニクと香辛料でポークリブを煮込んだ名物スープ、肉骨茶と書いて潮州・ホッケンでバッ・クー・テーと発音する又は、バックッテー。シンガポールでもこれが一般的なのだが、時には店名にロウ・グー・チャー(Rou Gu Cha)と書かれている所も少なくはない。肉骨茶をマンダリン読みにするとロウ・グー・チャーだが、これは初代総理大臣リー・クアン・ユーが1979年9月にシンガポールチャイニーズ(人口7割を占めていた)の言葉を統一すべく、「マンダリン語を話そうキャンペーン」を実施したのだ。福建、潮州、広東、海南、客家の方言でバラバラだったものを将来を考え、マンダリン語に統一するという事を始めた。20年経った今その効果はシンガポール経済をいい方向に進めたのではないか(さすがだ)。ただ、この肉骨茶で言えば、だれも普段の会話で「ローグーチャー喰おうぜ!」とは言わない(私はいい事だと思うが...)。
いつもこの肉骨茶になるとシンガポールとマレーシアではバトルが始まる。我こそが元祖だ!と。外人の私からすると旨ければどうでもいいでじゃあないかと思うのだが、さてこの素晴らしいスープがどのようにして始まったのかをシンガポール視点で話してみよう。シンガポール国立博物館によると肉骨茶(BKT)は20世紀初頭、骨折り作業をする中国からの労働者(coolies)が高価な漢方を購入出来ない事を知った漢方の薬剤師によって滋養強壮の為に発案されたそうだ(いわばファイトーイッパーツ)。肉骨茶で有名なRangoon Rd.の新しくなったNg Ah Sioへ行くと壁一面に歴史が英文で書かれている。肉が高価だった時代に最低賃金で働いていた中国人労働者が手頃な価格で栄養を蓄えられた料理が肉骨茶。何より先に肉骨茶を初めたのが潮州の人々とも書いてある。シンガポールとマレーシアの議論以前に、シンガポールでは、始めたのはホッケンなのかテオチュウの人々なのかという議論もある。ところでこの料理は中国の福建省や潮州には無い料理だが、中華っぽい。そう、それがシンガポール料理の素晴らしさだと私は思っている。

Singapore's exclusive pork rib soup -Bak Kut Teh and then there is Rou Gu Cha. Years back I didn't know why there were 2 names to a single dish, but a friend of mine clearly explained to me that rou gu cha is a mandarin dialect whereas bak kut teh is Teochew/Hokkien. This is because then-prime minister Lee Kwan Yew launched a "Speak Mandarin Campaign" on Sept. 1979 in order improve communications amongst the Chinese-Singaporean who spoke in their own dialects. And I guess because of this campaign, Singapore now has a increasing social/economical ties with growing China.
But in this day and age, you still don't say, "hey let's go eat rou gu cha." So what's the point of naming your shop Rou Gu Cha?


Anyway, bak kut teh, I found out that this is also a relatively new dish which started around the early 20th century, according to Singapore National Museum. Ng Ah Sio says Teochew version with garlic and peppers was the first one and then came the Hokkiens (dark type).

5.19.2010

Tian Tian Hainanese Chicken Rice @ Joo Chiat 天天海南鸡饭

とうとう出店したね。シンガポール国内+観光客から圧倒的に指示のあるティアンティアンのチキンライス。マクスウェルフードセンター(Maxwell Food Centre)の小さなストールから今度は加東(Katong)地域にあるJoo Chiat Rd.に本格的なお店をオープン。さっそくシンガポールの食通集団、Team Makansutraの面々とお店をお邪魔しました。ちなみに以前まではマカンスートラガイドではチキンライス部門で満点(6本箸)でしたが、2009年度版では一本格下げとなりました。個人的にはFook SengやWee Nam Keeが好きですけど、ここも本当に旨いですよ。
At last, Tian Tian Hainanese Chicken Rice from Maxwell Food Centre, opened its flagship shop on Joo Chiat Rd. Tian Tian's chicken rice is loved by both locals and tourists and if you google it, you'll know how incredibly famous they are. During my visit to Singapore, early April 2010, I was fortunate enough to try this completely new Tian Tian with the Makansutra posse.
メニューも近隣のチキンライス屋(Boon Tong Kee, 5 Star) には負けないよう工夫されています。マクスウェルではロースト系はなかったのですが、ここにはローストしたチキンもあります。
Because nearby, there's a star players like Boon Tong Kee and Five Star, their menu also have a wide range of cze char dishes.
海南なのでハイナニーズポークチョップもありました。日本のトンカツにグレービーが絡んでいる感じの料理ですが、これはシンガポールにおける西洋料理で、海南といっても海南島には無い料理です。たまに衣がパン粉ではなくクラッカーを使用する事もあります。ソースには隠し味としてA1ソースやリーペリンのウスターソースを使うところが多いですね。
Tried their Hainanese pork chop with very light gravy.
これもシンガポールの定番的おかずである、チャップチャイ。簡単に言うと野菜のごった煮です。キャベツや春雨がベースとなっていて、非常にシンプルな料理ですが、シンガポリアンは皆好んで食べる逸品です。
And to accompany our chicken rice, chap chye (mixed vegetables).

とうぜん、店内はモダンな作りでライティングにも拘っています。前回の黄亜細の肉骨茶屋と一緒です。とうぜんエアコンも完備で心地いい空間となっています。マクスウェルは素っ気ないサービスですが、ここは以外と気持ちのいいサービス(チームマカンスートラだからか?)。ただ、PRC(中国本土)のバイトの人も多く、英語が少し通じにくい。日曜日の昼で、すでに長蛇の列が出来ていた。
Very modern decor with aircon comfort.

5.12.2010

Ng Ah Sio 黄亜細肉骨茶餐室 リニューアル

リトルインディアから一駅のFarrer Parkにあるあの肉骨茶(バックーテー)で有名なRangoon Rd. のNg Ah Sioはようやくリニューアルオープンした(4月上旬にシンガポールへ訪れた)。早朝のオープンを狙い、お店へ(まだ薄暗い)。ちなみに私はどうしても日本人の「バクテー」という発音がスキになれない。そう聞こえないし。バク転にも聞こえる。幾度となく現地の人たちと話しているが、バックーテーかバークーテーだ。こんな事言ってるのは俺だけか?日本語を話さない人が天婦羅の事を「テンプーラ」や寿司の事をスーシーというのと同じだ。そう考えるとま、仕方ないか...
さて、店内はモダンな作りになっていてエアコンも完備。私はもともとエアコンが嫌いなのだが、シンガポリアンはエアコンをガンガンにしすぎる国民性がある。中国系であれだけ体を冷やすのは良くないという教えがあるのにだ。しかも、エアコンがある飲食店を優先する嗜好にある(一般的に)。ライティングにも拘っている。普通はネオンですしね。テーブルやイスはレトロなコピティアム(コーヒーショップ)をイメージしている。
肉骨茶といえば一緒に頂く中国茶が素晴らしい。以前はヤカンとガスストーブ(一部炭火)だったのだが今はティファールのように電磁式。おまけに蛇口まで完備。便利になったものだ。しかし、なにか生まれるとなにかが失われる。その捉え方は人それぞれだが、やはり私は前の店構えがスキだ。
という事で前の店の写真。どうですか、こののんびりと時を過ごすサマ。まさにスローライフ。朝食だけでゆったりと45分。小鳥のさえずりを聞きながら...
おまけに厨房にまで入れてもらいましたよ。ポロシャツもわがままをいって譲ってもらいました。かなりヴィンテージで初期のやつです(9年前)。今はもう厨房は奥の方に入っていて、見れませんが、このアットホームな感じはいいですな。

5.02.2010

Moily, Molee, Moli, Moolie, モイリー, モリー、ムーリー etc.

お店でMoolieを試作した。さて、Moily, Molee, Moolie,モイリー, モリーというと、カレー通は魚のココナッツカレーを連想するだろう。しかし色々な呼び名があるこのカリー、不思議ではないか?ネットで調べるとこのカレーは南インドのケララのカレー(Meen Moily)という認識が多いようだが、マレーシアやシンガポールにも実は存在する。何故か?と色々私なりにリサーチをしたのだ。Singapore Heritage Foodの著者であるSylvia Tanはこの料理のルーツはポルトガルにあると述べている。その根拠はMohlyuがポルトガル語で「グレービー」という意味だそうだ。しかし、私の調べではMohlyuという言葉は見つからず、逆に「Molho」が正式にソースという事がわかった。しかし、マラッカにはMohlyuというココナッツでシーフードを煮込んだクリスタン料理は存在する(これはユーラシアン料理と呼ばれるものだ)。さてこの「Molho」の発音は「モ−リョ」と聞こえる。少し脱線するが、この「Molho」はメキシコのソースである「Mole」(モーレ、"グアカ"モーレ等)の言葉が由来ではないかと私は勝手に思っている。この「Mole」はもともとアステカのナワトル語の「Molli」という言葉が語源となっている。そしてスペイン人がこの言葉を現在利用している(スペインオムレツのトルティーヤ等もそうだ)。さて本題に戻るが、ポルトガル人によって、ジャガイモ、カシューナッツ、トマト、チリ等、南米から南インドに運び込まれた食材は非常に多いが少なくともモイリーはポルトガル料理ではないと思う(ココナッツ使用してるし)。さて、もう一つの説はこのMoily, Molee, Moolie, モイリー, モリーは「マレー、Malay, Melay」という言葉がもとになって、恐らくマレーが発祥の地、という説(A Historical Dictionary of Indian Food, K. T. Achaya, Oxford University Press)。マレーの料理?実際、どうなのだろうか?ただ確かにマレーシアと南インドはイギリスの影響もあり近い存在にある。

補足だが、この料理はBritish Raj料理のカテゴリーでも存在する。ブリティッシュ・ラージュ料理とはインドがイギリスの植民地時代に英国人が好んで食べていたイギリス人に合わせたインド料理+英国料理の事だ。有名なところでチキンジャルフレージー(鶏のスパイシー炒め)、カリーパフ、ムリガターニースープ等。ただ何故モイリーがBritish Raj料理なのかというと、マラバー海峡(ケララやゴア)でポルトガル人に雇われていたシェフがもっと都会のイギリス領であるカルカッタへと出稼ぎに(イギリス人の専属シェフ)出たので、この料理がイギリス人にもポピュラーになったのだ。

私はこう思う:ココナッツ、魚とライムがあれば出来るMoily, Molee, Moolie, モイリー, モリーはなにもマレーシアが発祥では無いような気がするし、ポルトガル料理がルーツでもない(もともとマレーシアもケララもココナッツは多く料理に使用されているし、原産地でもあるので必然的にこのシンプルな料理は誕生すると考える)。恐らく、ケララにそもそも存在した地元料理だ。ポルトガル人は当然、地元の人を専属シェフとして働かせていた。そのポルトガル人が好んで食べた料理がモイリーではないか?料理名はマラヤーラム語なので(料理名が長いので発音が難しい)、その料理をポルトガル人が「これは旨いMolho(ソース)だ!」といってネーミングをして、専属の料理人に、「オイシェフ!例の旨いMolhoをまた作ってくれ!」。結果その料理名が定着したのだ。そしてポルトガル人のよってモイリーはマラッカでも定番の料理となっり、今度はマレーシアの専属料理人にモイリーを再現させたのだ(ビンダルーもそうだが、マラッカの郷土料理だが、ゴアのものとは大きく違う)。そして更にモイリーはマラッカに住むイギリス人やユーラシア人によってからシンガポールへ(マラッカはポルトガル領の後にイギリス領となった。よってポルトガル人の影響でゴアの名物料理となったビンダルーはイギリスインド料理の名物となっている。多分イギリス人は自分たちの料理だと思っているにちがいない)。っとかなり有力な説ではないか?

ちなみに、カリーという言葉も似たような背景がある。ケララを中心としたマラヤーラム語(その他タミル語も)で「Kari」というとある種のスパイスを使用した煮込料理だが、当然インドのカレー料理はこの「Kari」だけではない(Kootu, Kootan, Peralen, Ishtoo, Avial, Vindaloo, Kurma, Korma, Kolomba等)。植民地時代にポルトガル人や英国人がとにかく、ソースのあるスパイシーな煮込料理をこのKariという言葉をとって名付けたのだ。カレーはその後、インドのスパイシーな煮込料理のジェネリック用語となったのだ。
余談だが、ポルトガルで辛いソースの事をピリピリ(piri piri=直訳するとチリチリ)というそうだ。もともとは東アフリカのスワヒリ語が語源となっている。日本でいう、ピリ辛ってここからきているのかな〜。

Moily, Molee, Moli, Moolie all signifies a seafood coconut gravy dish which exists in parts of South India (Kerala is famous), Malaysia (esp. Malacca) and Singapore. Both Malaysia and Singapore I believe categorizes Moolie as somewhat Eurasian/Indian influenced cuisine like Mulligatawny or Vindaloo. Terry Tan writes in his book: Shiok! Exciting Tropical Asian Flavors (2003 Periplus Editions (HK) Ltd.) that moolie has a "blend of Indian and Malay influences." In a book, Singapore Heritage Food: Landmark Books Pte Ltd, 2004) Sylvia Tan describes moolie as a dish "probably has its roots in Portuguese cuisine. (The word mohlyu is Portuguese for gravy.)" K. T. Achaya: A Historical Dictionary of Indian Food, Oxford University Press 2006, states that "the word is thought to be a corruption of the term Malay, from where perhaps the dish originated." Camellia Panjabi in 50 Great Curries of India (Kyle Cathie 2004) mentions that it "is basically an Anglo-Indian dish... truly a Raj dish." I agree that this is a Raj dish like kedgree. But where did this dish really originate? This is my own theory but, I believe that "Moily, Molee, Moli, Moolie" was initially a Keralan dish which was exported to Malaysia just like moru (a Keralan curry dish that also exists in Malacca) by the Portuguese and then to Singapore by the British and the Eurasians. The dish ended with its own unique cultural identity where it evolved into distinct local cuisine. I found out that the word "mohlyu" is not Portuguese for gravy but "molho" (pronounced molyo) is. However, mohlyu is a Malacca-Cristang dish (or a term) with some kind of sauce such as, mohlyu gingibri doce cung taukwa (bean curd in sweet ginger sauce) or just plain mohlyu (seafood in spicy coconut sauce): Cuzinhia Cristang by Celine J. Marbeck . Anyhow, Portuguese word for gravy "molyo" does spell like "Moily, Molee, Moli, Moolie". So when the Portuguese saw the Keralan seafood coconut curry -a traditional Keralan dish, they termed it "molyo" and the word corrupted into "Moily, Molee, Moli, Moolie" just like vindaloo did ...maybe. Yet I do not see why moolie has a Portuguese roots. Unlike vindaloo, the technique used for making moolie does not use any Portuguese related stuff. It is such a simple dish where recipes vary from cook to cook but basically, it contains seafood, coconut milk, lime juice, and very little use of spices -all indigenous to Kerala so therefore, anyone would be capable in creating this dish by chance.

This is off the topic but in Japanese we say "piri-kara" when a dish is spicy hot. There's an Afro-Portuguese sauce called piri piri, literally translated as chili chili. Maybe this "piri-kara" word is not Japanese but brought over by the Portuguese....